チャプター 1

秘密。これを読む者よ、あなたは我が統治の秘密を求めてきたのだろうか。これはただの寓話。雷が削り出したクレーターの硝酸塩散らばる大地、天空が電撃とともに土に交じる場所。そこには生命ほど長いヒゲのような2本の触角を震わせる虫が地中深くに住んでいた。つかもうとする手が埋もれた秘密を求めて触角にふれ、これを引き抜いた。だがその手にあるのは1本のヒゲのみで、手を伸ばした探究者は落胆した。傷ついた虫はさらに地中奥深くへと進み、秘密は半分見えなくなった。真実を求める掘削者はさらに深い嘘を埋めるやもしれぬ。

あなたが我が権力を認めるならば、恋人が愛する者の肌の上にカミソリを走らせるがごとく、私は優しく前へと進むことを命じよう。さもなくば、あなたは王族を疑いし者…王に懐疑を示す者となり、刃の置き場所に気をつけねばならぬ。切り口が深く刃が速すぎれば、知りたいものは絶命する。思考に逸り過ぎれば、柔らかい土に掘った手の跡が残るように、己の推察で作り出された姿ばかりが真実に映る。気をつけるべきは、真実に程近い嘘を食らう者。警戒すべきは、貪欲なる者にとっては多量に存在する「想像された現実」と「在る現実」の間に在る空間。

勇敢なる旅人の運命、終わりなき生まれ出ずる場所、我によるミルトンの再現劇、我らを作り出した廃墟、2度も引き裂かれた分裂、母の傷口にこびりついた娘の血。霧と謎を通り抜ければ、全てが語られ、全ての真実が明らかになる。あなたに慈悲の心があるのなら、我らの悲しみを見、しかし涙はこらえよ。我らは代償を払うために作られたのだ。この私が我らを己が運命へと導いたのだ。

我が場所にて我を探せ。このささやきを、女王より成った神の口元より耳にせよ。