チャプター 9

計画通りにはいかなかったが、君のガーディアン達は集結し、最後までやり通した。そして「放浪者」は、彼が用意した突然の…「予定変更」について、最善を尽くして彼らに説明した。

突入して彼を吊るし上げるまであとわずかだったが、彼はその場を収めて試合をきちんと終わらせた。正直…もっとひどいことになると私は思っていた。私が気にしているのは…彼はそれまで「プライミーバル」という言葉を一度も発しなかったことだ。これが問題なのは歴然としている。

深遠の兵士を別の領域から引きはがすのは、あまりにも行き過ぎた行動だ。しかしあの化け物は? あれは憑依され、けしかられた普通の宿られた兵ではない。彼らは「影」の領域から生まれたものであり、そして彼らは…怒っていた。いや、もっと悪いことに彼らは「光」に飢えていた。君も感じたはずだ。たとえ離れた所にいても…彼らのオーラと怒りは、私の体に重くのしかかり、心の奥に「影」を忍び込ませた。

「放浪者」が彼らを私達から隠しておいたことに、私は動揺している。

それは必要なことだったと彼は言っている。私は彼の頭に銃を突きつけ、他に隠していることがないか問いただした。彼はただ笑って、コインを手でもてあそび、勝者の笑みを見せた。そして「肩の荷を下ろせ」と私に言った。下手をしたら私はあの時あの場で、彼を撃ち殺すところだった。

もし危険性を全部認識していたら、私達はギャンビットの開催を認めなかっただろう…彼は言ったが、おそらくその通りだ。しかし私達がずっと疑っていたことに確証が得られたとなると、前に進むのは難しい…

「放浪者」はやはり信用できない。

だが私達に残された選択肢は? もう一度言うが、このゲームのリスクは収穫に見合ったものだ。

全てを有能な君達の判断に任せよう。私は監視を続ける。私がいると水を濁らせるだけなので、遠くで見守るつもりだ。もし運がよければ…このギャンビットは彼の昔の仲間達の興味を引き、「影」も姿を現すはずだ。その時まで私は狩りに戻る。彼らがどんな道に現れても、退路を絶てるかどうか見極めたい。

ああ、それと忘れる前に…何度も同じことを言ってすまないが…私の本名は伏せておくように。彼は私の顔を知らないが、名前を聞いたことはあるはずだ。正体を知られたら最悪の事態になる。

——背徳者による「放浪者」の観察記録