チャプター 6

DCCII.
記録者: 書記官シャガク

影達の失敗に当惑しきっていた皇帝は、起こった出来事について顧問と共に何時間も思いを巡らせていた。顧問は皇帝をなだめるために、何度も見当違いにあれこれと試みた。皇帝の落ち着いた振る舞いの下に憤怒が渦巻いていることを懸念していたのだ。

そんなある日、皇帝は顧問であるトゥルアーグとイルハリと会った。彼らは皇帝を元気付けようと、ガウルの品の無い残虐性を必死に嘲った。

寛大で情深い皇帝はこう語った。

「ガウルは自身の過去を乗り越えた。少なくともその点は賞賛に値する。イルハリ――ワシはあらゆることを見てきたのだ。本当にあのような小さな失敗で悲嘆に暮れていると思うか? 違う。ワシは疲れたのだ」

「席を共にするに値する者を求め、ワシは全宇宙を探し回って来た。我が任務の重要性を少しでも理解できる者を。ワシに足りる力と精神があるかどうか、確かめることができる勇敢な者を。ワシの完全なる肉を口にするに値する者を。だが見つからなかった」

縮み上がる顧問に向かって、異様に落ち着いた美しい顔で皇帝がこう語ったとき、王に謁見するために使者が部屋に駆けこんできて、許しを乞いながら申し訳なさそうに頭を下げた。懇願して床を這いながら、その使者はドミヌス・ガウルがガーディアンの1人によって太陽系で殺されたと知らせたのだ。

このとき、私はこの目で見た。皇帝の目に新たな光が宿り、その顔が恒星のように輝く様子を。

「探せ」皇帝は使者に言った。「その英雄を見つけ出せ。その者の所に向かうぞ」皇帝はトゥルアーグに向かって太陽系に進路を合わせるよう指示した。そしてイルハリには別のオートマトンの準備をさせた。様々な状況下の自身の姿を皇帝が見られるように、偉大なる皇帝に似せて作られたロボットだ。オートマトンを作る理由は詳しく述べられることはなかったが、皇帝の声があまりにも喜びにあふれていたため、顧問達も意義を唱えることはなかった。