チャプター 13

第1135章(予記)
記録: 書記官シャガク*


こうして、偉大なるカルス皇帝は地球の影と共に敵に勝利したのであった。大いなる歓喜があった。世界の終りという鋭い刃から逃れる戦いが終わったのだ。この星系の人々は、常に存在する運命の影の中で、ようやく息をつき、暮らし、愛せるようになったのだ。

王室のワインが皇帝の友のために惜しみなく供され、小惑星ネッススは、皇帝の食卓に永住の地を手に入れた。祝福の象徴として普及の名声を与えられたのだ。

ウォーマインドであるラスプーチンが破滅を迎えたのち、地球の影はヘラス盆地を偉大なるカルス皇帝の力と美の記念碑へと作り変えた。醜悪な「ブレイ未来創造施設」は取り壊され、絢爛たる聖堂へと作り変えられた。偉大なる皇帝の偉業を祝福すべく星系中の人々が訪れるだろう。そして火星のうす汚い赤砂は、のびのびと転げ回るのに適した鮮やかな黄色の干潟へと姿を変えた。

地球では、歓喜と感謝の日となったカルス皇帝の祝宴を全人類が祝福している。子供達は皇帝の美しい顔立ちを模した黄金の仮面を身につけ、皇帝が世界の終わりの影においてこの星系をいかに作り直したかという物語を演じている。

歓喜に湧く人々! カルス皇帝がこの星系の至る所に自由と愉楽をもたらしたのだ!



*親愛なるイゾルト書記官。最愛の皇帝の栄光を忠実に表現し史実に近づけるため多少の誇張をすることよりも、想像力の欠如の方がはるかに重い罪である。歴史は実際に起きることで作られると同時に、記されることによっても作られるのであるから。