チャプター 4

アクセス: 機密
解読キー: 73XK5V2PG1$AUN-326
レポート#:014-CRYPT-540
エージェント:CHA-319
件名:シミズの最新論文

1. 大人気の陰謀論者がまた論文を発表するようだ。彼の最新論文から一部を抜粋する。不完全なもので申し訳ないが、嵐のなかで500メートルの距離から高解像度のOCR処理を施すのがどれだけ大変か、実際に経験してみてほしい。

2. …シティのISR(情報・監視・偵察)ネットワークがレッドリージョン艦隊の接近を察知できなかった件については、未だに大きな疑問として残っている。

レッドリージョンの軍事力が我々のそれを大きく凌駕していたことは、今や広く認識されている。ガウルの作戦はトラベラーの隔離およびオールマイティの砲撃位置への移動後に続く抵抗に十分な策を講じていなかったが、あの先手の打ち方は過去の将軍たちも妬むほどの見事な奇襲だった。サイオン電子戦ユニットによってシティのセンサーは無力化され、衛星による早期警報システムも押さえ込まれていた(最後の最後までフェイルセーフ信号を維持する徹底ぶりだ)。エルダーズ・プリズンでの見事な偽装プログラムと、近光速投射物による重要センサーへの攻撃が合わさり、リーフは同時攻撃を感知できなかった。

だがレッドリージョンは散らばっているデッドオービット艦隊の目をどうやって逃れたのだろうか?アラーハが戦いで貴重な船を失うことを恐れ情報を隠匿した、と考えるのは政治的に賢明とは言えない。なにより、彼らの艦隊は以降の反撃とシティの再興において計り知れないほどの貢献を果たしている。ましてや、フューチャーウォー・カルトがシティの一時的な占領を政治的に利用できると考えた(表現を少し和らげるなら、望ましい未来に進むために必要なステップと見た)、などと言う考えは尚のこと扇動的といえる。

だがこの疑問を無視することはできない。預言(および敵から入手した情報)によってオリックスのことを予見していたガーディアンが、なぜレッドリージョンの攻撃を予期し対策をうてなかったのか?カバルの本質にはより現実的な、故に予測できない何かがあるのだろうか?彼らはハイヴよりも優れた情報セキュリティを有しているのか? しかし宿られし軍との戦い後に傍受したカバルの救難信号を考慮すると、とてもそうとは思えない。

未だその存在を知られていない何者かが、ガウルの接近を我々から隠していたのだろうか?何者かがガウルと共通の目的を持っていたとしたら——それはガーディアンの打倒かもしれないし、トラベラーの奪取かもしれない。あるいは我々が「光」と呼ぶ能力を力尽くで奪うことだろうか?

仮にそのような存在がいるとして、それほどの能力を有しているのだとしたら、どうやってこれまでその存在を我々から隠してきたというのか。

3. リークがあったなどとは言わない。ハサンは本物以上に本物らしかった。彼が死んだ時には、我々の仲間として生き返ることを願う。

4. いつも通り後悔の念はあるが、彼から提出のあったものについては、正式な公表を拒否し続けるようクリプトアーキに推奨しておく。反対意見のある者は、声をあげてくれ。

メッセージ終了