チャプター 7

「俺は許すことも忘れることもない。楽な人生じゃないんだ」——暗黒時代の放浪者


ウー・ミンのバーは静まり返っていることも少なくないが、今夜は繁盛していた。相応の金を払えば誰にでも酒を注いだが、客のほとんどは蘇りし者だった。彼ら向けのメニューを提供をしているわけではなく、たまたまフェルウィンターという山の麓でバーを開店したからだ。

フェルウィンターは一山すべてを手中に収めていたと言われているかつてのウォーロードだ。現在は鉄の豪傑とともに行動し、フェルウィンター山は鉄の狼の縄張りと化している。ウーはバーを開店する許可を彼らに得てはいなかった。

それどころか、聞いてすらいなかった。

今夜の客は皆ゴーストを連れていなかった。強風と人を寄せ付けない寒さにより、ゴーストを持たない者が来店するのは稀だった。だが今夜は違った。ウォーロードらがこのあたりに戻ってきたという噂を人々が聞きつけたからだ。銃声も聞こえなかった。少なくとも今は。文無しの光なき惨めな者であっても、遠路はるばるこのバーまで足を運べば、運がよければ鉄の豪傑や女傑と飲めるかもしれないのだ。ウー・ミンはそのことを気にすることもなかった。

ドアが大きく開くと、武装した3人組が寒い外気とともに入ってきた。「世界の果てへようこそ」とサーバーが挨拶する。ウォーロードらは55-30を素通りしてカウンターのウー・ミンへと向かった。

「ご注文は何になさいますか?」ウーは精一杯の笑顔で尋ねた。

ウォーロードらのリーダー格と思われる、自分の脳みそよりも大きいショルダーガードを着けている男が唸った。「食い物だ。持ってるものは全て出せ」

ウーは驚いた。「かしこまりました。それだと… かなりのお代金になりますが」

「分かってないな」と大男は言うと、ウーのストームコートの胸ぐらを掴んだ。「ここにあるものを全て出せ、さもなくばお前の内臓をぶちまけて生きたまま啜るぞ」

「ちょっとシタン」と女性の声がした。「弱い者いじめはよしなさい」

シタンと呼ばれた男の少し後ろに立つヘルメットの人物に皆注目した。彼女の背は大男の胸あたりまでしかなかった。

「エフリディート卿」とシタンはブツブツと彼女の名を口にした。

ウー・ミンの視線は鉄の女傑から、光なき客たちの周りにいる3人のウォーロードに向けられた。彼は誰にも聞こえないように毒づき、身をかがめようと構えた。