チャプター 4

「まったく、不愉快だ」—暗黒時代の放浪者


9歳のユウがここに来たのは初めてではなかった。彼女の一家はジャドソンの隣に住んでおり、気性の荒い隣人がいよいよという時になると、決まって彼女がジャーメーンのもとに送り込まれた。今日の彼がまさにそうだった。ジャーメーンはそれさえも気にとめなかった。

「ジャドソンは鉄の豪傑が私たちと一緒に暮らすのを良い考えだとは思ってない」と、彼女は言った。彼女は、地面に並べられたジャーメーンの持ち物を踏まないようにしながら、小屋の端から端までをゆっくりと行ったり来たりしていた。

「分かってる。だが、ジャドソンはあれこれやかましすぎる。それに、時には覚悟を決めるしかないことだってある。奴らがどれだけの食料をくれたか分かってるのか?」ジャーメーンはそう言うと、1枚のカードを置いた。近くで明かりが瞬いており、その隣にはこの小屋では見たことがないほどの量の食料が積まれていた。

「ジャドソンは銃の使い方を知っている。あいつのことはよく知ってる。あいつなら——」

「いえ、無理ね。あいつらを殺すことなんてできないわ。そんな考えは捨てたほうがいい」

ユウは相変わらず行ったり来たりしながら、少し顔をしかめて考えを巡らせていた。

「食料が多いのはいいことよ。でもジャドソンはあの連中が私たちに死を招くかもしれないと考えてる。もしかしたら彼は逃げ出すかもしれないわね」と彼女は言った。

彼はもう1枚カードを置いた。「今あるものを大切にするしかないんだ。お前の両親は、お前さんに食べさせるために自分たちの夕飯を我慢してきた。蘇りし者はその問題を解決してくれたんだ。少なくとも今のところはな。奴らの滞在を認めるしかない」

彼女は考えをまとめるために足を止めると、薄い鉄でできた天井を見上げた。「死にたくない」

「そうはならない」と、ジャーメーンは言った。「そろそろ親が心配しているんじゃないか? 俺も少し疲れた」

「分かった」。彼女は肩をすくめた。彼女は出て行った。

ジャーメーンは物資の山から水の入った小さな箱を開けると、それを缶になみなみと注いだ。明滅する光によって視界が悪かったためユウは気がつかなかったが、彼の手は震えていた。

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ジャドソンは夜気に白い息を吐きながら、できるだけ静かに町を隔てる門を閉めた。寒さで身震いすれば、建て付けの悪いものが揺れ、ユウの家族が目を覚ましてしまう。彼は取っ手をしっかりと握りながら門を閉めた。彼は今、イートン渓谷から伸びている道の上に立っていた。

踵を返し、ジャーメーンのもとへと真っ直ぐ進んだ。

「そんなところにいたのか、兄弟」ジャドソンは低い声でうなるように言うと、肘が当たるほどの距離まで近づいて足を止めた。彼は一歩下がった。一歩だけ。

「こんな遅くまで何をしてるんだ?」ジャーメーンは尋ねた。

「言わなくても分かるだろ? 撃ち合いが始まる前にここを離れる」

「ドライデン卿を信用すべきだ」ジャーメーンは言った。

ジャドソンはかぶりを振った。「お前や仲介者のせいでこの町は滅びる。奴らは噂以上に危険な連中だ」

「蘇りし者に対する俺の考えはお前も知っているはずだ。だが奴らのおかげで少なくとも今は俺たちも救われているのが現実だ」

ジャドソンは鼻で笑った。「連中が俺とお前と似た姿をしてるから騙されてるだけだ。奴らは躊躇なくお前を殺すだろう。それも息をするみたいにな。そういう奴らだ」

「奴らは1人の男を狙ってるだけだ。たったの1人だぞ。最後まで見届けるべきだ。蘇りし者ならあの大戦を終わらすこともできる」

「どいてくれないか? それとも俺にどかされたいのか?」

ジャーメーンは道を空けた。「俺は命令できるような立場じゃない。だが、どこに行くつもりだ?この先には戦場しかない。それに奴らの獲物も来る」

「俺は狩猟者だ。お前がここに来る前から、ずっとこの町を食べさせてきた。こんなの、問題の内にも入らない。それに他の蘇りし者なら、1人の男が通りがかったところで気にも留めないだろう。特に後ろめたいこともない。とにかく、ここから離れられればいいんだ。戦いに明け暮れる死者をおびき寄せるための餌になりたいって言うんなら、せいぜい頑張ってくれ」

ジャーメーンは笑った。「何がおかしい?」ジャドソンは再び低い声で吐き捨てるように言った。

「そんな考えにどうやって至るのか、俺には分からない。だが大したもんだ」

「何がだ?」

「お前は恐れを知らない。せいぜい頑張ってくれ、兄弟。またいつか会おう」ジャーメーンは門へと戻って行った。