チャプター 4

トラベラーへ。

信じられないことに、ここに来てからもう1か月が経ちました。ずっと中にいるのはつまらないです!

毎日同じことの繰り返しです。ダディは僕を起こして朝食を作って、エクソの工場にいるパパのところに行きます。僕はペンギンのミハイロワと一緒に、ながーーーい道のりを歩いて建物の反対側にある学校に通っています。

実際のところ、そこは学校とは呼べないような場所で、どちらかというと単なる教室のような感じです。子供は50人しかいないので、1つの部屋に全員が集められて、2人の先生が授業をします。おかげで、全員がペンギンのおもちゃを持っていることが分かりました。自分だけだと思っていたのがバカみたいです。でも、赤ちゃんと大きな子供が同じおもちゃをもらってよろこぶと考えているクロビス・ブレイもバカだと思います。大きな子供たちの中には、リサイクル用のゴミ箱にペンギンを捨ててしまった人もいます。その中から1匹だけ救出することに成功しました。このペンギンはカルメットという名前にするつもりです。この宇宙飛行士は火星に向かう途中で死んでしまったので、あなたには会えませんでした。

僕にとってはそれが一番こわいことです。エクソや、自分の知らないことはちっともこわくありません。新たな発見をする直前に死んでしまうなんて。新しいことを見つけようとがんばって仕事をして… いきなりダメになってしまうなんて! くだらない事故が原因で、僕と残りの人生の290年が消えてしまうんです。

黄金時代の前の話を読んだことがあります。運がよくても人は100年くらいしか生きられませんでした。しかもそのころには体が弱くなっていて、ベッドから出ることもできないんだとか!

あなたが来てくれて本当に良かったです。

エクソはどれぐらい生きられるのでしょうか。もしかしてずっと? しっかりと面倒さえみていれば… でも多分、最後には宇宙線によってハードドライブが消されるのでしょう。パパはそんなことは数千年は起こらないと言っています。バックアップする時間は十分にあるということです。

昨日の夜、自分がエクソになった夢を見ました。真夜中にスノースーツも着ずに、氷った湖の中心に立っていました、でも全く寒くありませんでした。空は真っ暗で、遠くに明るい月がひとつだけ見えました。それを見上げながら、これからどうしようかと考えていると… そこでダディに起こされてしまいました。

最初はダディに文句を言いました。でもその夢は心の奥底からのメッセージだとダディが教えてくれました。そのメッセージの意味が分かるまで、その夢をくりかえし見ることになるそうです。だから、できれば、今日の夜には意味が分かるといいなと思っています。

あなたの友達、

ミカより