あと2回のスキャンで、隆起したグリッドへ移れる。この辺りで変わったことと言えばもう環境の微妙な変化くらいしかないが、2の128乗のスキャンを30%弱終わらせた時点で既に、全く同じ光景も真新しく感じられるようになる。

「カシオペア!」

旅の仲間を探して何ヶ月もスキャンし続けたせいで感覚が麻痺してきたのか。付近に他のゴーストがいることさえ検知できなかった。「オブザーブ? 待ってください。すみません。あなたは... オブシディアンですね! もうあれからどれくらい経ったのでしょう!?」

「いえ、その...」

「6.8年ぶりだというのは分かっていますが、ただの言い回しです」

オブシディアンが浮遊しながら寄ってきた。「気にしないでください。本当に久しぶりですから。あなたはまだガーディアンを見つけていないみたいですね」

カシオペアは浮かない顔をした。「まだです。でも、火星の探索はまだあまりしていませんから! きっと見つかります!」

「絶対に見つかりますよ! 去年シティに戻ったのですが、私達の仲間はどんどんガーディアンを見つけているよう... あれは何でしょう?」

カシオペアは次のグリッドへ行く前に、あらゆる項目において自己診断を行うことにした。2体のゴーストが20m以内にいたのに、どちらも検知できなかった。何かがおかしい。

新しく到着したゴーストが話し始めた。「こんにちは! こんなところで ~identify(オブシディアン)~ 同胞に会えるとは思いませんでした! 最近は少し落ち込んでしまって」

オブシディアンはカシオペアを見た。オブシディアンは不安を抱いていた。カシオペアもおそらく同じだ。

「ブラインド・ウォッチの下に長い間いました。とても ~ZIVA.MEM.GH404~ 長い間。楽しかったですよ! パズルがあって。でも、生命体は全くいませんでした」

カシオペアはこのゴーストをスキャンしたが、何もおかしなところは見つからなかった。「あの、大丈夫ですか?」

「もちろんです! 何かが入ってきたような気がしましたが、光が ~if (光) then 警告~ 燃やしてくれました。もう消えてなくなりました! ~消費:失敗 複製:失敗 強化:失敗~」

3秒間、沈黙が広がった。そして、オブシディアンが早口で話し始めた。

「また会えて嬉しかったですよ、カシオペア! 幸運を!」 そして、さっと立ち去っていった。

カシオペアはオブシディアンが地平線に消えていくのを見ていた。「自己診断を2回」と呟いた。