トンネルは地質の一種と思っていた。いや、本当はそうであるべきだ。2回目の月の地下探索を始めた時はそう信じて疑わなかったが、12時間後、骨を見つけた。長く伸びる1本のあばら骨。飛行機の機体ほどに大きい。

生き物自体は数百メートル下で見つけた。虫だったのだろうか?鱗や歯を持ち、人よりも速く移動する虫...

ジュンが最初に死んだ。次はルリ。惨い光景だった。死を考える暇などない。だから私はひたすらこのトンネルを彷徨い、迷って酸素がなくなるのを待った。

痛みを感じるだろうか?あの最後の眠りが訪れる時... 眠りでない眠りが訪れる時...

月にあるものは全て存在しないものの名前が付けられている。気づいたか?「晴れの海」、「嵐の大洋」、「雨の海」。当然だと思った。

だがトンネルで見つけたものは、そのまま、見たままだった。だから、その通りに名前を付けることにした。この記録を見つけたなら、奴らに注意しろ。

「サークル・オブ・ボーンズ」、「夜の間」。

このくらいトンネルを歩いて何も失わない者はいない。自分の小ささを感じるために大海を見るなら、現実が自分の手からすり抜けていくのを感じるためにこの洞窟を歩くのだろう。

この洞窟を歩く前の自分に戻ることはできない。科学と宇宙の基礎的な合理性を信じていた自分には。あの虫を見てしまったら。

だが今ここで、地下の奥底でもう1つの悪夢を見つけてしまった。夢から覚めたと思ったのに、まだ夢の中にいることに気づくような感覚だ。もしかすると、酸素も残り少ないのかもしれない。あぁ、そうだ。確かにあと僅かしかない。低酸素症が既に発症し始めている。目の前にあるのは私自身のようだ。半分生きていて、半分亡霊のようだ。骨化した後産。鼓動を打つ腫瘍。

自分で作ったクレーターの中にいる。暗黒でギザギザしている。私はここに座り、横たわる。扉が見える。その中に、開放を待つ死ほどに白い悪夢の卵がある。

その光景を、見ずに済んでよかった。