ワシは虚無主義者ではないか、と時々考える。
何かを破壊すること以外、ほとんど何もしない。周りはワシのことをこう言う。素晴らしい文明を持つことができたはずだ。あのオリックスが、あのハイヴがいなければ!奴らは死以外何も信じぬ。
いい物を作りたいなら、破壊不可能なものを作る必要がある。そして、それを可能にするために、全てを破壊する必要がある。
ワシは宇宙が死で成り立っていると知ることができた。知ることは美しい。
だが、どこか奇妙な場所で道を見失った。
サバスンとシブ・アラスは、ワシの石版を奪おうとしている。ワシが深遠と話している間、ワシへの献上を断ち切ったに違いない。親愛なる妹達。ワシを破壊できるだけの狡猾さと強さを持つ者は他にいない。ワシにこんな贈り物ができる者は他にいない。
昔、シブ・アラスの戦いの月で、シブ・アラスの命を奪った。シブ・アラスは月を丸ごと破壊してワシを道連れにした。歓喜で笑っていた。ワシも笑った。月を丸ごとだ!月を丸ごと。無駄な破壊で月を1つ失った。だがこの時、爆発する世界からどうすれば己を守れるのかが分かった。エクメーネと戦うには、必要な知識だった。
月の潮に対する愛よりも、ワシの強きシブ・アラスに対する愛の方が大きい。この償いとして、シブ・アラスの息の根を止める。何度も、そして永遠に。
深遠での探索から戻った時には、玉座を取り戻し、子供を成す。ワシに必要なのはそれだ。
愛し、命を奪う息子達と娘達。
XXXIV: 知ることは美しい
4:4節 — 知ることは美しい
文字数: 699 | 総閲覧数: 1.3K