今日、妹の命を奪った。

妹はこの星に、そこに住む命の全滅を見届けるために来た。クグは強力な力を持ち、その艦隊は近隣の4つの星を守る。群れをなす動物として、クグは忠実で頑固だが、柔軟さも持ち合わせている。

何百万年という進化の中で、クグはウィルスに感染した。この狡猾なウィルスは、本体の遺伝子情報に自分の情報を刻み込み、クグが巨大な固着性のある顎の獣に手足を捧げるようにしている。クグはこの獣を崇拝し、神として称えている。ウィルスはクグの細胞を卵へと変え、その卵から出てきた地面を這う奇妙な生き物はやがて蛹になる。顎の獣の腹の中で生きるために。その代わり、顎の獣は甘い蜜を出してクグに飲ませ、輝かしい未来を語る。

サバスンとその子供達は顎の獣からクグを解放した。クグを存在という概念から解放した。だが、サバスンがクグの箱舟を追跡している時、私が介入してサバスンの戦艦を一部の従兵共々蒸発させた。破滅の跡にしばらく留まり、脇をがら空きにしていたサバスンを罰したい。

このクグという種族は私達と同じだ。共生関係に縛り付けられていた。

私は喜びと悲しみを感じる。この感情は山のように大きい。私の体はちっぽけだが、私の心は宇宙ほどに大きいからだ。クグという種族全体が体験し得た喜びや怒りなど、私の知る喜びと怒りにしてみたら取るに足らない。

多くの命を、この百年だけで18もの種族の命を奪ったから、悲しみを感じる。そして、同じ理由で喜びを感じる。これだけの数の汚染を始末したという喜び。始末して、宇宙をきれいな状態に保ち、最終形状に向けて動き出せるようにしたという喜び。我々は大きな進展を遂げている。寄生虫を物質世界から除去している。寄生虫でなければ、命を奪うことなどできなかったはず。今でも存在し続けているはず。

その最終形状とは何か?燃料もなく燃える炎。永遠に燃え続ける炎。死を殺し、答えになっている質問を問う。我々はそれにならなければならない。

私の虫は大きく成長し、相変わらず腹を空かせている。いくつもの世界で虫の空腹を満たしている。私の天文学者によると、虫は深遠を感じ取れるという。我々は深遠に向かって破滅の道を作っているのだという。

もうすぐ、喜びと悲しみが同じものになるだろう。愛と死が同じであるように。