プラエディスは目を開いた。

レシーバーが再び機能し始めた。このシンプルな通信スキャナーを機能させるのに5年以上もかかり、通信できるようになるまでさらに数年かかった。やっと、独房の扉が開いた僅かな時間に助けを求めることができる。プラエディスはため息をついた。咳き込まないようにそっと。あとどれくらい生きられるのか、見当もつかなかった。だが、「あとどれくらい」など、その場所の時間の流れによって変わるものではないだろうか?

プラエディスは周囲に広がる金属とワイヤーの山を見つめ、寄せ集めで作ったスピーカーから聞こえてくる小さな音に耳を傾けた。プラエディスは話し始める前に、いつも要点を考えていた。自分の心に流れ込む言葉や考えに混乱した。既に発生してしまったかもしれない時間の流れや潜在力。これから発生するかもしれない時間の流れや潜在力。絶対に発生しないかもしれない時間の流れや潜在力。

視界の端に常にパターンが見える。こういう時、世界が自分を高速で追い越していく時、自分がまだ息をしているという事実にしがみつくしかない。手に入れたもの、失ったもの、息の吸い込みと吐き出しにフォーカスすることが多かった。深呼吸を繰り返して何時間も経った後、瞬きした。フォーカスしなおした。雑音が止まった。通信できるチャンスを逃してしまった。

一度だけ、自暴自棄になって叫んだ。そして、弱々しく頭を振った。

ベックスが終焉を選んだ。ガーディアンが抵抗した。ベックスが誤りを犯した。

ベックスも間違うことがあるなら... ベックスもミスすることがあるなら... いつかは自由になれるはず。いつか、この場所から抜け出して、トラベラーをもう一度見ることができるかもしれない。

それまでは耳を傾け続ける。目を見張り続ける。外から覗き込む存在に、複数の銀河に渡るマインドの意識を覗き込む存在になる。ベックスを理解しようとする。

プラエディスは目を閉じた。