全ての始まりとなった中庭で、ローケンの部下がジャレン・ウォードを見つけた。
9つの銃口が彼に向けられた。9つの冷たい心が命令を待っている。ローケン執政官は彼らの後ろに立ち、満足げだった。
ジャレン・ウォードは静かに立ち、彼のゴーストが肩越しに覗いていた。
ローケンは群衆をじっと見てから、前に進み出た。まるでその土地が自分の土地だと主張するかのように。「私を問題視しているのか?」と言った彼の言葉には毒があった。「ここはお前の町ではない」
この時のローケンの身ぶりを覚えている。見せつけるようだった。
他の皆は相変わらず静かに見守っていた。
私は父の袖を引っ張った。しかし、父は私の肩に置いた手を痛いぐらいに強く握っただけだった。今はその時ではないということを、彼なりに知らせていたのだ。
私はこの数ヶ月の間にジャレンのあらゆる行動を見て、そのさらっとした身ぶりと僅かな癖を目に焼きつけていた。彼のような人は初めてだった。私には理解を超えた存在でありながら、彼を見た瞬間、必要なことを全て理解した気持ちになった。彼は私達を超えていた。優れているのではない。ただ超えていた。
私は父にこの事態を止めてもらいたかった。今になって振り返ると、父に止める気などなかった。他の皆もそうだった。
ローケンがジャレン・ウォードを貶し、嘲り、その罪を列挙している間、私の視線はジャレンの腰の銃に注がれていた。彼の手は静かにベルトの上に置かれたままだった。
私はその銃の重さを、軽さを思い出した。そして私の不安は消え、理解できた。
「ここは我々の町だ! 私の町だ!」とローケンが叫んでいた。彼はジャレンをさらし者にするつもりだった。パラモンの人々に服従の教訓を教えるために。
ジャレンははっきりと、静かに言った。「もう違う」
ローケンは拒絶的に笑った。彼の脇には9丁の銃が控えていた。「それがお前の最期の言葉か?」
それは一瞬だった。電光石火のごとく、ジャレン・ウォードは動きながら言った。「お前のだ。俺のではない」
ジャレンのリボルバーから煙がたなびいた。
ローケンが倒れた。額には黒い穴が空いていて、目は永遠を見つめていた。
ジャレンは自分に向けられた9つの銃口を見た。1人ずつ、彼らは銃を下ろしていった。そして、私の残りの人生が始まった。しかし、それからほんの数年間で多くの者が命を終えることになった。
ゴーストの破片: 暗黒時代2
文字数: 1148 | 総閲覧数: 1.7K